遺品整理とは
突然、身内や親族がお亡くなりになる事は、高齢化社会ではなんら不思議ではありません。
故人の遺品整理をする事は、生きている間、それほど多くもありません。
大切な身内や親族のお見送り後、残された家族で故人の遺品整理を行わなければならないからです。
遺品といっても、故人の生活用品や生活家具、家電製品、嗜好品、資産価値のある装飾品などの高価な品物に着目されがちですが、廃棄すべきゴミとなるものまで全て処分、片付けをする必要があります。何から手をつけていいのか、すぐにわかればいいのですが いざ自分自身がやる事になったら、大半の方は戸惑い、混乱し、困ってしまう事でしょう。
そんな遺品整理の方法を知りたい人に向けて、遺品整理に適切な時期やプロに依頼するメリット・デメリットも含めて遺品整理について詳しく解説していきたいと思います。
目次
1.遺品整理とは
遺品整理とは、故人の残した遺品を整理する事です。
生活用品、衣類、生活家電、家財、資産となる物を残されたご家族が整理する事を総称して「遺品整理」と呼びます。家財整理や遺品処分と呼ぶ事もあります。
故人が残した遺産の中でも「動産」(物品全般)の事ですが、価値の高い装飾品(宝石・美術品等)だけでなく、生前使用されていた古い家具もありますし、家電製品、衣類などもあります。そういったのは売却できますが、使用感のある洋服などの保管状態が悪い物もの、生活感のある食器、ゴミなどは当然そのまま残されている事が多いです。 動産に限らず、遺書をはじめ、手帳・写真アルバム、預金通帳、クレジットカード、印鑑などもあります。不動産である土地や建物などの権利書、保険証券も遺品になります。
故人が急死してしまった場合、冷蔵庫内などに食料がある場合がありますので、ご家族や両親が遠方に住んでいる場合には残された家族にとってかなりの負担になります。
資産価値となる有価物が残っているケースはありますが、基本的に引き取り手が付きにくい家財が多く、生前整理と違い無価値が多いです。
遺品整理とは、親族などの身内が亡くなった時、その人が生前時に使用していた遺品を整理する事です。
遺品
故人の日常的の生活品、家族の為に残した遺産といった故人に関係するすべての物の事です。
遺品整理の意味
故人の私物を整理すると、その人が生きていた証となるものとして向き合う事になるのですが、残された人たちは寂しさや悲しさに再び感じる事があります。
とはいえ、遺品をそのままの状態で残すと、ふたたび故人の事を思い出し、心の負担になる方もそう少なくありません。
気持ちの整理をする意味で、遺品を整理し、故人の私物を丁寧に片づけ、仕分ける事が遺品整理なのです。
故人との思い出を破棄するわけではなく、大切な遺品の整理は、時間をかけて丁寧に行いたいのが本音です。とはいえ、故人がもし賃貸などでアパート・マンションを借りていた場合、早急に部屋の整理なども含めて、すぐにでも遺品整理を行う必要があります。
遺品整理の仕分け方
【貴重品】
貴重品は金品だけでなく、故人の所有している重要となる物・書類・不動産の権利などです。
主に貴重品と言われるのは以下の通りです。
- 銀行通帳・印鑑
- キャッシュカード
- クレジットカード
- パスポート
- 年金手帳
- 有価証券
- 契約書類
- 不動産権利書
- 貴金属・美術品
貴重品の整理には、法的な手続きが必要ですし、期日が設定されていますので、必ず最優先で処理を行いましょう。
【形見】
形見は、故人の生前から愛用していた物や思い出の品の事です。貴重品とは似ていますが、主に故人との思い出を忘れないための大切な品が形見なのです。
【再利用可の物】
生活衣類・生活家電などはそのまま再利用できるものであれば、そのまま利用するか、リサイクル業者に引き取ってもらいましょう。
【廃棄するもの】
故人が残した物を廃棄するというのはかなり勇気がいる事です。少しでも不要だと感じた物は思い切って捨てましょう。あれもこれも残すと、あとから収拾がつかなくなる事があります。特に明らかにゴミであったり、今後使い道のないものであれば捨てる事もまた大事な事なのです。
今はデータの管理が楽になっていて、写真はデータに残すという事が出来ますので、かさばるのであればデータに一度保管した上で捨てる事も可能です。
データであればコンパクトに収容できますので、故人との思い出も捨てる事なく長期にわたって保存する事が出来ます。
2.遺品整理のやることリスト
遺品整理に取り掛かるにあたって、やることをリストにしてみました。
状況によってやらなければならないことは少しずつ異なってくるかと思いますが、だいたい以下のような流れになるでしょう。
ぜひ参考になさってください。
- 遺品を仕分ける
- 不用品の処分
- 買取が可能そうな遺品を買取り業者に依頼
- 故人の住まいの清掃(リフォーム含む)
- (誰も住む予定がない場合)家の解体の手配
- 故人の車の処分や譲渡手続き
- 家や土地など、不動産の売買手配。(もしくは名義変更)
- 相続税の申告
- 役所への各種届け出
- 故人の預貯金・株券・名義変更や払い戻し
以上、箇条書きいたしましたが、ご覧いただいた通り、やることも手続きも非常に多く、一人で行うのはとても骨の折れることでしょう。
特にご親族が都心に居住し、故人の住まいが遠方という場合は、故人が持っていた家の処分や、土地の売買などの各種手続きも必要でしょうし、どこから手を付ければよいか、と途方に暮れる方は少なくありません。
遺品整理業者によっては、単なる荷物の片づけや処分だけでなく、鑑定や査定の知識があったり、弁護士などと提携しているところもあります。
仕事などでなかなか時間を作れないという方は特に、こうした複合的なサービスを提供している業者を選ぶなどして、多岐にわたる「やらなければならないこと」を手分けして進めるのが理想的かもしれません。
3.遺品整理の時期とタイミング
遺品整理をするタイミングも迷うところです。適切な時期はいつでしょうか。
●遺品整理の時期について
遺品整理の時期については、具体的なルールはないため、落ち着いたタイミングで整理をするのが良いと思います。
●物によって整理の時期は異なる
法的な手続きが必要なものや相続税がかかるものについては早急に対処する必要があります。手続きの期日が決められているものがあるため、事前に調べておく事でスムーズに進められます。優先処理する必要があるものは優先的に処理をし、思い出などの物については時間かけて片付ける方が落ち着いて出来ますので、整理の時期を分けるのも良いです。
●遺品整理はいつ始めるのがいいか
故人が亡くなった哀しみの中、遺品整理を始めるのは大変です。
そのような中、四十九日が過ぎたころ、あるいは百日法要の後、もしくは一周忌などに始める方が多いようです。
特に一周忌は、親族が一堂に会しますので、遺品の相続などを話し合いながら故人の遺品整理を行うというケースが多いようです。
親族が集まることで、遺品について誰がなにを相続するか、ということも話し合うことができますので、一人で遺品整理を進めてしまうよりは、その後のトラブル回避につなげられるのではないでしょうか。
また、哀しみが深すぎて遺品整理にはとても手が付けられない、という場合もあるでしょう。
ある程度哀しみが癒え、気持ちが落ち着いてから行うという方も多いようです。
しかし、賃貸の場合などは、故人が亡くなったことで部屋を明け渡さねばならないでしょうし、早めに行った方がよいでしょう。
大家さんや管理会社にも相談し、遺品整理の日を決めてとりかかりましょう。
4.遺品整理より前に、行っておくべき手続きはたくさんある
故人が亡くなると、葬儀の手配やそれにまつわる様々な手続きや確認事項がたくさんあります。
これらは遺品整理よりも先に行う必要があります。
例えば、葬儀の手配。
知人やご親族・ご親戚の対応、相続財産の有無なども早めに確認しておきましょう。
また、相続放棄したい借金があった場合、申告期日中に手続きを行わないと、借金を相続しなければならなくなることもありますので注意が必要です。
相続人についても掌握しておきましょう。
掌握しておくことで、遺品など財産分与が完了した後にもめごとが起きる、という事態を避けることができます。
その他以下に挙げたような支払い関係も、確認・解約手続きが必要です。
- ・携帯電話料金や有料アプリ・サブスク契約の解約
- ・故人の自宅の固定電話・光回線・NHKなどの解約
故人に変わって支払いが生じた場合は、相続人が代わりに建て替える必要があります。
故人が契約していた支払い関係は早めに確認しておくとよいでしょう。
以下に、ざっくりとですが、故人が亡くなったらまず確認しておいた方がよい事項をまとめてみました。
ご参考になさってください。
確認事項
- 遺言書はあるか
- 相続人は誰になるか
- 現金や不動産、有価証券などの財産について確認する
- 相続の対象となる遺品の有無を確認する
- 形見のお品物を確認する
・故人によっては、家財など遺品の中に保管されている場合があります。
・貴重品などを保管している家具などがあれば、確認してみましょう。
・公正証書遺言がある場合は、この確認作業は不要です。
・故人の戸籍を取得して、確認するとよいでしょう。
・故人が所持していた貯金通帳や印鑑、キャッシュカードや権利書などの契約書類などを確認しましょう。
・骨董品、美術品、宝飾品、ブランド品などは相続の対象になります。
・有無を確認してみましょう。
・鑑定は専門の業者に依頼するとよいでしょう。
・①~⑤をすべて確認し終えたら、遺品整理について準備を始めましょう。
・家電など、処分予定のものが多い場合は、ご親族や相続人の中で話し合いを持ち、専門の遺品整理業者への依頼などを検討してみるとよいかもしれません。
・見積もりは無料で受け付けている専門業者も多いので、複数の業者から見積もりを取って比較検討するのがおすすめです。
5.遺品整理を業者に依頼する場合で注意すべき点
遺品整理業者を頼む場合、注意した方がよい点は、おおまかに二つあります。
- 信頼できる業者を選ぶ
- A. キャンセル料の有無を確認する
- B. 追加料金が発生するケースを確認する
- C. 複数の業者から見積もりを取る
- D. 信頼できる人物から紹介してもらえる業者があれば、そちらを利用する
- E. 日程はなるべく立ち会える日で調整してもらう
- ほかの相続人としっかり話し合う
・言うまでもないことですが、遺品は故人の財産でもあり、扱い方や処分方法をめぐって業者側とトラブルになってしまうことも少なくありません。
・遺品整理の業者は年々増え続けており、サービス内容や料金体系は多種多様です。
・安価に見えてもオプション料金が高かったり、サービス面でこちらの要望と折り合わなかったりする業者もあります。
・以下に、ご契約前に、ぜひ注意していただきたい点をまとめましたのでご参考になさってください。
なお、遺品に骨董品や美術品がある場合は、先に鑑定や査定ができる専門の業者を呼ぶか、査定士のいる遺品整理業者に頼むのがおすすめです。
遺産はもちろん、遺品の処分についても、可能な限り相続人全員で分割や処分についてしっかり話し合っておくようにしましょう。
現金以外の遺産や遺品の場合、現金のように平等に分割することは難しいので、勝手に進めたりしないことが後々のトラブルを回避できるのではないでしょうか。
葬儀や法事などでご親族が集まるときなどをうまく使って、話し合いの場を持つとよいでしょう。
6.孤独死や事故・事件などで、室内の清掃が必要な場合
突然の事故や事件、そして最近よく耳にする孤独死などによって、急な清掃や遺品整理が必要になるケースもあります。
特に、ご遺体の腐敗がすすみ、室内になんらかのダメージを与えてしまっている場合は、賃貸の場合は特に、室内の原状回復や復旧作業が急務です。
こうしたケースでは、室内や近隣に特殊なにおいや大量の虫が発生してしまっていたり、室内が雑然としすぎているなどして、ご遺族様でも何をどう始めればよいのかという状況になっているのがほとんど。
この場合は、ひとまず特殊清掃の専門業者に相談してみるとよいでしょう。
状況によっては、充満したにおいの対処、発生している細菌の対策などのため、特殊な防護服を着てフル装備での清掃となるため、それなりの費用になることを覚悟しておいた方がよいでしょう。
見積もりを無料で出してくれる業者をネットで検索するなどして、複数社を見繕い、比較検討して依頼するのがおすすめです。
特殊清掃とは、どんなことをするのか
状況に応じて様々なので一概には言えませんが、特殊清掃はおおむね以下の流れとなっています。
- ・警察による現場検証のあと、見積もりのため業者による現地調査が行われる
- ・見積に納得したら、業者から届く発注書にサインや捺印をする
- ・除菌処理※室内に残る血痕や体液が原因で感染症になることもあるため、じゅうぶんな除菌処理をおこないます。
- ・遺品・家財整理、消臭、清掃
7.遺品整理は専門業者に依頼して、効率的に片付けよう!
多くの人は、年を重ねるごとに「もの」が増えていきます。
故人が亡くなってから遺品整理に取り掛かってみると、予想以上の分量に驚かされることもしばしば。
しかし、これを遺品整理の専門業者に依頼する、という方法もあるのです。
この記事では、専門の業者に依頼することのメリットについてご紹介しています。
ぜひ参考になさってください。
メリットその1 時間を節約できる
いままでは、遺品整理をご遺族様やご親族様で行う、というのが一般的でした。
出てきた遺品によってはその場で相続について話し合いが持てるというメリットも確かにありますが、場合によっては話し合いが長引いたり、思い出話に花が咲いてしまったりなどで、遺品整理作業が遅々として進まない、ということもあるでしょう。
特にサラリーマンの場合は、そう何日も遺品整理のために休みを取り続けることは大変難しいかと思います。
また、遠方だと往復の時間や交通費のこともあり、何度も行き来するのは時間的にも費用の面でも、相当な負担になってしまうのではないでしょうか。
そして故人の住まいが賃貸だった場合は、遺品整理が完了するまで家賃が発生し続けることになるのです。
しかし、専門の遺品整理業者に依頼すれば、遺品の量にもよりますが、効率よく短期間で終わらせてくれるため、大幅な時間の節約になります。
メリットその2 大きな家財や家電の持ち出しもお願いできる
故人が一人住まいだったという場合は、タンスや冷蔵庫などの大型の家財も運び出しを行わなければならない可能性があります。
それに加えてこまごまとした遺品整理もあるとなると、何人かに手伝いに来てもらわない限り、心身共に相当に疲弊してしまうのではないでしょうか。
加えて、マンションの上層階やエレベーターのない集合住宅だったり、夏場の炎天下だった場合は、何度も往復して搬出するうちに相当消耗してしまうでしょう。
遺品整理業者であれば、こういった体力勝負の力仕事も経験豊富で、それこそ効率よくどんどん運び出してくれますし、価値のありそうな遺品については買い取ったりリサイクルショップの手配をしてくれたりするのでとても便利なのです。
メリットその3 心労を軽減できる
故人が亡くなったことで、相当な哀しみにおそわれる方もいらっしゃいます。
遺品整理をすることで、蘇る思い出でよりいっそう哀しみが深くなってしまうなどで作業の手が進まない、ということもあるでしょう。
しかし、故人のお住まいが賃貸などで、遺品整理を完了しなければならない期日が迫っているなどの場合は、どうしても急がざるを得ませんので、無理をすることでかえって大きな心労になり、心身に負担をかけてしまうこともあります。
無理をせず遺品整理は専門の業者にまかせて、その時間を哀しみを癒すため静かに過ごす方が精神的にもよいのではないでしょうか。
メリットその4 解約手続きが難解なデジタルコンテンツや、借金の放棄などを相談できる
業者によっては、遺品整理だけでなく、故人が亡くなることによって生じる様々なお悩みをサポートできるところもあります。
例えば、故人が契約していたスマホの解約、スマホに入れていたアプリの解約、wi-fiの解約など、本人でないとなかなか難しい解約手続きの方法を相談できたり、故人が負っていた借金の放棄や、相続などに関するお悩みについて、提携している弁護士や税理士などに橋渡ししてくれることもあるのです。
単なる遺品整理だけでなく、こうしたあらゆる手続きについても相談でき、片付けることができるというわけですね。
メリットその5 細かなリクエストにも応えてくれる
経験豊富な遺品整理業者は、たとえば大事なものをしまっていそうな場所などを予測することもできたりします。
「家族のアルバムを探しておいてほしい」「記念品があったはずなので見つけて」などのご要望について、相談してみるとよいでしょう。
また、取り扱いに注意を払わなければならない、例えばお仏壇のような遺品を処分する場合は、処分の前に供養の手配をしてくれるなど、お客様のリクエストについて様々心配りをしてくれるところも少なくありませんので、ぜひ確認してみてください。
メリットその6 遺品の買取りをしてくれる業者もある
遺品の中に、骨董品や美術品、ブランド品などがあるという場合は、古物商許可のある遺品整理業者なら買取りを依頼することが可能です。
場合によっては、買い取ってもらった金額を遺品整理費用から差し引いてもらうことも可能なことがありますので、事前に業者に確認してみるとよいでしょう。
8.まとめ
故人が亡くなると、その悲しみもさることながら、遺された遺品の整理の問題も考える必要があります。
ご親族様と相続などについて話し合って折り合いがついたあと、家財など残った遺品の整理という流れになりますが、日数が限られていたり、片付けなければならない家財や家電などが大量にある場合は、専門の遺品整理業者に依頼するのが得策です。
なるべく複数社から見積もりを取り、比較検討して依頼先を決めるのがおすすめ。
業者によっては、弁護士などと連携しているところもあるので、相続のことや、故人が契約していた課金アプリやWi-Fiなどの解約手配について相談できるところもあります。
また、種類を問わず大型家電や家財などをまとめて引き取って片付けてくれたり、遺品整理で出てきた骨董品などを買取りしてくれる業者もあるので、効率的に遺品整理を行うことができてとても便利なのです。
ただ、孤独死や突然の事故・事件などで故人の居室が雑多な状態の場合は、遺品整理業者の前に特殊清掃業者への依頼を検討する必要があります。